外国人労働者の問題とは?外国人労働者を雇用する前に知っておくべきこと

政府が外国人労働者を増加させる施策を打ち出し、ここ10年で外国人労働者は急増しています。

労働力の確保、企業の成長など良い側面がある一方で、外国人労働者を雇用することで発生する問題もあります。

問題を未然に防ぐための採用のポイントや、入社後のフォローについてもご紹介します。

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1|外国人労働者の数が急増

日本国内で働く外国人労働者の数は年々増加しています。

厚生労働省が公表した「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】」によると、平成20年に約486万人だった外国人労働者は平成29年には約1,279万人と2.6倍に増加しました。

また、外国人労働者を雇用する事業所数は19万4,595か所で、前年同期比12.6%の増加となりました。平成19年に届出が義務化されて以来、過去最高を更新しています。

画像:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】」より

増加の理由は、政府の施策によって高度な技術や専門知識を持つ外国人労働者・留学生の受け入れが進められていることがあげられます。

少子高齢化により、人材不足になった企業(特に中小企業)をサポートし、さらに優秀な人材を確保することで企業の成長を促進する狙いもあります。

2|外国人労働者に関する問題とは?

外国人労働者に関する問題には、大きく分けて2つの種類があります。一つは、日本社会全体に関する問題、もう一つは実際に雇用している企業内で起こる問題です。

地域社会への影響

国籍の内訳は、中国が37万2,263人、ベトナムが24万259人、フィリピンが14万6,798人、ブラジル が11万7,299人と、アジアが中心ですが、国も言語も違う外国人が増加したことで、少なからず地域社会にも影響が出ています。

海外から日本に来て働く方の多くは優秀な人材ですが、不法労働者も増えており、治安の悪化を心配する声も上がっています。

地域社会との共生

治安の悪化とは別の問題として、外国人労働者が日本で就労している間、きちんと地域社会に溶け込めるかという問題もあります。

外国人の日本語能力は、日本語能力試験でいうN1やN2レベルが望ましいですが、それより低い外国人労働者の数も少なくありません。こういった外国人労働者は職場だけでなく地域とのコミュニケーションも難しく、生活していく上で障害となる可能性があります。

そういった事情を考慮し、地域の小売店や飲食店、金融機関などで多言語対応が進むことが求められています。

外国人と日本人の生活格差

法定内の支払いだとしても、外国人労働者に支払われる賃金は低水準であることが多くあります。

今後外国人労働者が増え、「永住者」などの在留資格を取得する外国人が増えてくると、日本人との生活格差が広がっていく可能性があります。

多様性のある社会という点でもこのような格差は弊害を生みやすく、また、格差を埋めるための社会保障の整備などでコストが肥大していく可能性もあります。

劣悪な条件での労働

外国人労働者を「人件費が安くて済む」などのネガティブな理由で雇用する企業もあるようです。その場合、請負を中心に、日本人もやりたがらない仕事を担当させることが問題になっています。外国人自身にとってはもちろん、その業界や会社でも環境の改善が進みません。

法制度の強化、整備によって減少しているようですが、不当に安価な賃金で外国人労働者を雇用することは、国際社会からも厳しく非難される行為です。

受け入れ態勢の問題

雇用することで発生する問題です。外国人労働者の雇用は、求人告知から採用まで様々な手順がありますが、もっとも重要なのは採用後のケアと言われています。

慣れない土地で過ごすのですから、日頃から何かしらのストレスがあるはずです。その上、職場でも心を許して話せる人がいない、意思疎通ができないなどの問題が起これば、仕事に集中できず、最悪離職してしまう可能性があります。

契約書に関する問題

非常に残念なことに、契約書を取り交わさずに外国人労働者を働かせているケース、契約書を取り交わしてもそれが守られないケースは少なくないと言います。

企業は雇用契約書等を作成し、労働者に配布する義務がありますが、外国人労働者を雇う現場では口約束だけで済ませているケースがあります。口頭だと日本の労働環境や自身が働いている企業の給料体系をきちんと把握することが難しく、最低賃金割れの金額で働かされるなど劣悪な労働環境になりがちです。

また、契約書を作成したはずがそれは入国管理局へ提出する用で、外国人労働者へは賃金を低く設定した別の契約書を配布するというケースもあります。明記してあるはずの金額が支払われず、ずっとはぐらかされてしまうケースも少なくありません。

長時間労働や賃金、手当の未払い

タイムカードによる労働時間の記録をしていない企業も少なくはなく、外国人労働者が不当に長く働かされているケースもあります。ひどい例では、長時間労働にかかる残業代が支払われないことも。

タイムカードがないと長時間労働を証明することが難しく、外国人労働者自らが毎日記録しておかないと後から戦うことも難しいという現状もあります。


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3|外国人労働者の問題に対する政府の対応は?

平成 27 年度外国人労働者問題啓発月間実施要領」によると、外国人労働者の問題について、厚生労働省は下記のような見解を述べています。

”就労を目的として我が国に入国、在留する外国人は増加したが、その就労状況をみると、雇用が不安定であること社会保険の未加入が多いこと、依然として不法就労者数は高水準で推移していること等の問題があった”

外国で働く際に、雇用が不安定であれば在留資格にも影響があります。その国に居られるかどうかがかかっているため、外国人労働者にとってはとても不安な状況でしょう。また、誰がどこで働いていて、離職後どうなったか、そもそも離職していたのかなどが不透明な場合、不法労働に繋がる可能性があります。

こういった状況を受け、厚生労働省では主に以下の取り組みを行なっています。

① 雇用管理の改善及び再就職の促進

② 専門的・技術的分野の就業促進

③ 適正な雇用・労働条件の確保

雇用者側としては、第一に、外国人労働者を雇用した際・離職時に必ず届け出を出すこと、そして「なぜ採用するのか」を明確にした上で、適切な人材を雇用することが重要です。

4|外国人労働者を雇用するメリット

これまで見てきたように、外国人労働者を雇用することで発生する問題もあります。しかし、その問題を超える大きなメリットもあります。

メリット1:若くて優秀な人材の確保

前述したように、少子高齢化の影響で若い労働者が減少しています。外国人労働者を雇用することで、企業が抱える労働者不足の問題を解決することができるでしょう。

また、ひらがな、カタカナ、漢字と3種類の文字を使い分けなければならない日本語は、もっとも習得が難しい言語の一つと言われています。その日本語を学び、さらに国を渡ってまで他国で働きたいという方は、優秀でバイタリティー溢れるケースが多いです。

メリット2:会社の成長につながる

優秀な人材、日本人ではできないような発想がある外国人を雇用したことで、他の社員に良い影響を与え、活力が生まれたという声もあります。

例えば、英語が社内公用語になったあるIT企業では、同じ部署で働く中国人同僚が「将来起業したい」という夢を持ち、実際に数年働いたのちに日本国内で2つの会社を立ち上げたそうです。

社内での仕事内容は問い合わせ対応だったそうですが、「母国語と同じように日本語、英語までも話していて、もっと自分も頑張らなくてはと思った」との声も寄せられています。

メリット3:海外進出の際に戦力になる

もし海外進出を考えているのであれば、その国の出身者を雇うことは非常に有効です。現地の言葉だけではなく、その国の文化をよく知っていれば、情報収集やマーケティングを行う際に、力強い味方となってくれることでしょう。

 

5|会社のニーズにマッチした外国人労働者を雇用するには

外国人労働者を雇用する際は、適切な人材を確保することがとても重要です。ここからは、採用の仕方から確認ポイントまでをご説明していきます。

優秀な人材を採用する方法

まずは採用方法です。優秀な人材がアクセスする場所に求人広告を出しましょう。

求人広告の活用

日系新聞・メディア・雑誌のほか、外国語のポータルサイトに広告を出すことで募集を行うことができます。インターネット系のメディアでは、LinkedInIndeedwantedlyなどがメジャーです。いずれも海外展開しており、なかには気になる人材に直接スカウトメッセージを送れるサービスもあります。

人材紹介会社の活用

人材紹介会社を通すことで、その会社にすでに登録している人材を紹介してもらうことができます。人材サービスのパソナグループは外国人留学生向け就職イベント「JOB博」を毎年開催しており、イベントで外国人人材と直接コミュニケーションが取れます。

大学や専門学校からの紹介

専門学校・大学・大学院のなかには、外国人留学生の就職をサポートしているところも少なくありません。教育機関の就職課に直接コンタクトし、求人を出したり、インターンの募集を行いましょう。

公的機関の活用

ハローワークや外国人雇用サービスセンターなどの公的機関を通して採用をする方法もあります。厚生労働省が提供する「外国人雇用サービスセンター等一覧」を活用し、採用活動を行なってみましょう。

日本文化を知ってもらう

外国人労働者を雇用することで、地域に治安の不安を与えるという問題が起きる可能性もないとは言い切れません。もちろん、外国人だから犯罪を犯す、日本人だから犯さない、ということはありませんが、そもそも「文化の違い」があることから、ちょっとしたトラブルが発生し、その結果「外国人労働者がいることで治安に不安がある」と地域住民に思われてしまうことがあるのです。

こういった問題が起きる可能性をできるだけ減らすためにも、雇用する予定の外国人労働者に日本文化を知ってもらう機会をつくりましょう。例えば、日本の技能実習制度では、入国前に日本の文化教育などを提供する時間(6ヶ月間)が設けられています。また、地域住民と交流を持つためのレクレーション活動などを行っている企業・地域もあります。

こういった取り組みを参考に、地域住民に快く受け入れてもらえるような「文化を知る時間」を設けることは、長い目で見ると、外国人労働者を雇用する際の懸念点を少しでも払拭することができるでしょう。


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6|外国人労働者を受け入れる際の注意点

外国人労働者を雇用する際は、ルールに従って手続きを進める必要があります。これらのルールを知ることで、外国人労働者を雇用した際に発生しがちな問題を事前に防ぐこともできるでしょう。

出入国管理及び難民認定法(入管法)と在留資格

日本で外国人労働者が働くためには、入管法で定められた在留資格が必要です。在留資格は、その資格ごとに就ける仕事が決まっています。

(参考:厚生労働省 「我が国で就労する外国人のカテゴリー」)

このため、外国人労働者を雇用する際は、必ず在留資格と在留期間について確認をしましょう。不明点がある場合は、最寄りの地方入国管理局にお問い合わせすることをお勧めします。

日本に外国人を呼び、新たに雇用する場合は、そもそも就労ビザの申請が必要です。就労ビザの申請をするためには、要件が設けられているため、申請前に必ず取得要件を全て満たしているかを確認しましょう。

ビザ取得のために行政書士や弁護士がサービスを提供している場合もありますが、もし人材紹介会社を通している場合は、ノウハウを持つ会社に聞いてみるのも一つの方法でしょう。

雇用契約を結ぶ

外国人労働者を雇用する場合は、賃金や業務内容など、労働条件についてよく話し合い、書面による雇用契約を結びましょう。

日本と海外では、契約に関する考え方が全く異なることがあります。書面にすることで理解が深まるはずですし、相手からの信頼にもつながります。また、万が一、トラブルが起こった場合に証明書として機能します。

なお、雇用契約書や労働条件通知書等を従業員に書面で配布することは労働基準法で義務化されています。このため、契約書の配布などを行わなかった場合、責任を問われるのは企業です。

届け出を行う

外国人労働者の雇用状態(労働者の氏名、在留資格、在留期間など)の届け出は、事業主の義務です。また、雇用時だけではなく、離職の際にも届けを出す必要があります。

届け出を行わなかった場合、30万円以下の罰金が発生しますので、注意が必要です。

届け出に関する詳しい情報は、厚生労働省の「「外国人雇用状況の届出」は、全ての事業主の義務であり、外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です!」にまとまっています。

7|まとめ

いかがでしょう。外国人労働者の問題に関しては、ここ数年で急激に増加しているということもあり、不安に感じる方もいらっしゃるようです。また、欧米諸国では移民がきっかけで社会問題が起こっていると危惧する声もあります。

しかし、外国人労働者や移民を受け入れることが、経済に良い影響を与えると判断し、手厚いサポートを提供している国もあります。ヨーロッパでいうと、オランダやドイツです。

物事には、必ず良い側面と悪い側面があります。外国人労働者を受け入れることで得られるメリットや、課題を把握した上で、会社にとってプラスになる人材を採用しましょう。

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Bridgers編集部
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