外国人雇用状況の届出は全雇用形態で義務化!届出書ダウンロード、記入例やWEB手続き方法も紹介

昨今の人手不足により、飲食業、小売業、製造業などでは外国人労働者の雇用が活発になっています。

在留資格を持つ外国人の方々は、貴重な労働力です。

厚生労働省「外国人雇用状況の届け出状況まとめ」によると、令和元年10月末現在の外国人労働者数は1,658,8名で、前年度比13.6%となっています。

この記事では、外国人採用を考えている企業の採用担当者様が、注意するべき点について詳しく説明します。


1|外国人雇用状況の届け出とは?提出先は?

外国人を採用したらはじめにおこなわなければならないのが、外国人雇用状況の届出です。

アルバイト雇用、正社員雇用に関わらず必ず必要とされている手続きです。

届出を怠ると30万円以下の罰金が科されてしまいます。

すべての事業主に届出の義務がある、外国人雇用状況届とは一体どのようなものなのか、見ていきましょう。

「外国人雇用状況の届出」とは、外国人労働者を採用した際に、ハローワークと通じて厚生労働省に届け出るものです。

書類の提出は、企業の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に提出もできますが、電子申請も可能となっており、オンラインでの申請が便利です。

外国人雇用状況届出書のフォーマットは、こちらからダウンロードできます。

外国人雇用状況の届出書は、雇用対策法第二十八条によってすべての事業主に提出が義務付けられています。

内容は雇用対策法施行規則第十条によって以下のように定められています。

採用者の生年月日や国籍だけでなく、事業所の名称や所在地なども記入して提出します。

  1. 生年月日
  2. 性別
  3. 国籍の属する国または出入国管理及び難民認定法第二条第五号口に規定する地域
  4. 入国管理及び難民認定法第十九条第二項前段の許可(以下「資格外活動の許可」という。)を受けている者にあっては、当該許可を受けていること。
  5. 雇入れまたは離職に関わる事業所の名称及び所在地
  6. 賃金その他の雇用状況に関する事項

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2|「外国人雇用状況の届出」の対象者

届出の対象となる外国人は、日本の国籍を有しない方で在留資格が「外交」、「公用」以外の方、すべてが対象です。

※「特別永住者」とされる在日韓国人および在日朝鮮人の方は、法的地位が与えられているので、日本における活動の制限はありません。

そのため、この届出も必要はありません。よって、在留資格が「外交」、「公用」以外の方、特別永住者の方以外を雇用する場合は、正社員、アルバイト、派遣社員など、どのような雇用形態であっても、届出が義務付けられています。

厚生労働省に寄せられる、よくある質問を確認していきますと、ほぼすべての事業主にこの届出の義務が課せられていることがわかります。

Q.雇用の際、氏名や言語などから外国人であると判断できない場合も義務付けられているのか?

その方が外国人であると明らかにしてない場合は、外国人であると確認、そして届出をしなかったからといって法違反に問われることはありません。

Q.日本人と結婚している方を採用する場合も義務付けられているのか?

日本人と結婚していても、日本国籍を取得してない限り外国人ですので、届出が必要です。

Q.事業主が外国人の場合も義務付けられているのか?

事業主が外国人であるか否かを問わず、外国人を雇用した際には届出が必要です。

Q.アルバイト採用の場合も義務付けられているのか?

外国人雇用状況届出は、雇用形態に関わらず提出が必要です。在留カードの裏面の資格外活動許可欄を確認し、提出をおこなってください(詳しくは下記をご確認ください)。

届出を忘れた際の対処法

忘れてしまった際は、気づいた時点で速やかにハローワークへ届け出をおこないましょう。

罰金を課せられる場合もありますので、うっかりミスが重大な罰金に繋がらないように、外国人労働者を採用したら必ず必要な手順だと意識しておくことが大切です。

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3|雇用できる外国人と雇用できない外国人

日本にいる外国人、すべてを雇用できるわけではありません。

雇用するには、日本で労働する許可をもらっている外国人に限ります。

労働が許可されている外国人とは一体どのような人たちなのか詳しくみていきましょう。

必ず在留カードを確認

在留カードとは、日本に中長期間在留する外国人に対して交付されるカードです。

在留カードには氏名等の基本的身分事項や、在留資格、在留期間が記載されています。

採用担当者は、このカードでもって採用可能な外国人か否かを把握することが可能です。

在留カードの表面に就労制限の有無という欄に「就労可」と記載されているかご確認ください。

※外国人留学生がアルバイトをする場合は「資格外活動許可」を得る必要があります。

許可を得ている場合は、在留カードの裏面の①資格外活動許可欄に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」という記載がありますので、確認しましょう。

画像の出展元:ぶんラボ

また、在留カードを所持していない外国人は、以下の場合を除き、採用することができません。

  • 旅券に後日在留カードを交付する旨の記載がある方
  • 外国人登録証明書から在留カードへの切り替えを済ませていない方
  • 「3月」以下の在留期間が付与された方
  • 「外交」、「公用」等の在留資格が付与された方

所持していない外国人を雇用した場合、不法就労になります。

不法就労させたり、不法就労をあっせんした場合は3年以下の懲役、罰金300万以下の罰則があります。

届出は離職時にも必要

外国人雇用状況の届出は、採用時だけでなく離職時に必要になります。

喪失届と呼ばれる雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出しましょう。

この届出にもとづき、外国人がどのくらいの数、どのような業種または場所で働いているのか調査するとともに、雇用環境の改善に向け事業主への助言や指導、また離職した外国人への就職支援をおこなっています。

外国人雇用状況の届け出は国の外国人雇用の政策立案に役立っているのです。

4|外国人を採用する企業側の注意点

外国人雇用状況の届出を提出するのは、主に外国人を雇用する企業側です。企業側の対応として、本人確認時は在留カードなどを提出してもらう必要がありますが、外国人雇用状況の届出を提出する際は在留カードなどの写しなどは必要ありません。

しかし、ほかの手続きで確認する機会も多いため、外国人採用時にはあらかじめ在留カードなどのコピーを取らせてもらい、保管しておくと便利です。

ただし、コピーと言っても個人情報にあたるため、厳重な管理をしなければなりません。個人情報保護法第18条第2項の規定により、個人情報を書面で取得(保管)する場合は利用目的を本人に明示する必要があります。

コピーした書類を何に使うのか、事前に本人に必ず伝えなければなりません。

紛失等のリスク対策や、運用の仕方にも配慮が必要なため注意しましょう。

これらの書類を安全に管理するためには、デジタルツールを活用する方法もあります。スマートフォンやタブレット端末で書類や在留カードを撮影して画像を保管したり、身元確認(氏名・生年月日・住所など)、在留資格、就労制限を登録し、管理しておけるシステムも存在します。

紙での管理が煩雑になりそうな場合や、セキュリティ面で不安がある場合は検討してみましょう。

5|外国人雇用状況届の記入例と届出方法をチェック!

採用する外国人が雇用保険の被保険者か否かによって使用する様式や届出事項、提出期間などが異なりますので、それぞれの場合をみていきましょう。

届出の提出期限

雇用保険の被保険者である場合

雇用保険の被保険者の外国人を雇用する場合は、雇用保険被保険者資格取得届の備考欄に記載事項を記載して(詳しくは下の画像をご確認ください)、雇入れした日の翌月10日までに届出をおこないます。

※離職時は、離職した日から逆算して10日以内が期限です。

雇用保険の被保険者とならない外国人の場合

雇用保険の被保険者とならない外国人の場合、雇入れ、離職ともに翌月の末日までに届出をおこないます。

※ただし、雇用保険の被保険者とならないのは、外国公務員および外国の失業保険制度の適用を受けている方のみです。

ほとんどの場合、雇用保険の被保険者となりますので注意してください。

届出の書式

採用する外国人が雇用保険の被保険者である場合は、「雇用保険被保険者社資格習得届」を提出します。

雇用保険の被保険者とならない外国人の場合は、「雇用対策法施行規則様式第3号」を提出します。

雇用保険被保険者資格習得届の記入例

画像の出展元:厚生労働省

届出先はどこ?

雇用保険の被保険者か否かに関わらず、どの場合も事業所の所在地を管轄するハローワークの窓口で届出をおこなうか、webの外国人雇用状況届出システムを利用します。

Webで届出をする場合

インターネットに接続可能な端末でブラウザを起動し、厚生労働省の外国人雇用状況届出システムにアクセスします。

そのページからユーザーIDとパスワードを発行。それらを入力してログインし、採用する方の名前や背年月日、性別、国籍、在留資格の種類などを入力していきます。

離職の場合は、採用時に登録された雇用情報が一覧で表示されるので、その中から離職する方の情報を選択し、手続きをすすめます。

※ユーザーIDを発行する場合に事業所名や事業所の住所、連絡先などの入力が必要になります。

6|まとめ

外国人を雇用する際に必ず必要となる「外国人雇用状況」が必要な理由や、届出方法などはわかりましたでしょうか?

ハローワークやwebを通して、さほど手間なく提出が可能ですので、怠らないようにしましょう。

また、在留カードの確認も必ずおこない、不法就労させることがないよう注意しましょう。

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記事監修者
高梨 洋一
高梨 洋一
株式会社リーラコーエンジャパン CEO                       株式会社リクルートにて法人営業、海外事業、営業企画部部長など13年間経験。その間、ファーストリテイリングへ出向し人事・外国人採用に従事。シンガポールや上海で駐在し海外で人材紹介事業を運営。2015年より株式会社ネオキャリアに入社し、シンガポール法人の社長、海外事業全体の経営企画と経営管理を管掌する。その後は、日本企業の働き方の多様性と生産性向上を人の観点で支援すべく、2019年より株式会社ヨンイチを設立。2023年より当社の主力事業である「Bridgers」の事業責任者となり、現在に至る。 現在は、主に海外経験と外国人雇用の知識とノウハウを活かして、多くの中小企業の外国人採用支援など行う。