【2025】外国人採用に必須の“在留資格”とは?企業が押さえるべき基礎知識と実務のポイント

はじめに:なぜ在留資格の理解が採用成功のカギになるのか

少子高齢化による労働力不足を背景に、外国人採用を進める企業が増えています。

一方で、「在留資格の内容を把握しないまま採用した結果、就労できなかった」「更新忘れで在留期限が切れてしまった」といったトラブルも少なくありません。

外国人材の採用は、在留資格の理解が出発点。本記事では、経営者や企業担当者が押さえるべき在留資格の基礎知識から実務上の確認ポイントまでを分かりやすく解説します。

外国人の「在留資格」とは?

「ビザ」と「在留資格」の違い

  • ビザ(査証):入国前に発給される入国許可のこと。海外の日本大使館などが発行
  • 在留資格:日本に滞在するための活動内容に応じた法的ステータス(法務大臣による在留許可に基づき付与される)
  • 在留カード:日本に入国・滞在している外国人に交付される本人確認証

つまり、企業が外国人を採用する際に最も確認すべきなのは「在留資格」です。

就労に関わる代表的な在留資格の種類と特徴

ここでは、企業が採用時によく出会う在留資格を分かりやすく紹介します。

就労可能な在留資格(代表例)

在留資格名 主な対象職種 特徴・条件
技術・人文知識・国際業務 エンジニア、通訳、マーケティング、事務職など 大卒・専門卒などの学歴が求められる。文理問わず幅広い業種で利用される。
特定技能(1号) 外食、介護、製造、建設、製造など16分野 技能試験と日本語試験の合格が必要。現場作業系が中心。
高度専門職 研究者、IT人材、経営者など ポイント制。永住権取得の優遇などもある。
経営・管理 会社設立、経営者、役員など 出資金要件などあり。事業計画も審査対象。

就労制限がある在留資格(要注意)

在留資格名 特徴 就労条件
留学 日本の大学・専門学校等に通学 資格外活動許可を取得すれば週28時間以内のアルバイト可
家族滞在 就労者の家族(配偶者・子) 資格外活動許可により週28時間以内のアルバイト等が可能
文化活動 / 短期滞在 調査・研究、観光など 原則就労不可

就労制限のない在留資格(自由度が高い)

在留資格名 特徴
永住者 在留期限、就労制限なし
日本人の配偶者等 日本人の配偶者や子どもなど。就労制限なし。
定住者 日系人、特別な事情のある外国人。就労制限なし。

採用前に必ず確認すべき在留資格のポイント

✔ 採用前チェックリスト

採用時のトラブルを防ぐためには、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 在留資格の種類:業務内容と合致しているか?
  • 在留期間の有効期限:雇用開始時点で有効か?更新時期は?
  • 資格外活動許可の有無(該当する場合):留学生・家族滞在などでアルバイト希望があるか?

✔ 在留カード確認時のポイント

在留カードは採用時に必ず確認しましょう。チェックすべき項目は以下の通りです:

  • 氏名・国籍・生年月日
  • 在留資格の名称(例:技術・人文知識・国際業務)
  • 在留期間の満了日
  • 就労制限の有無
  • 裏面にある「資格外活動許可」の記載(ある場合は明記)
    💡在留カードには偽造防止機能があるため、手触りやホログラムの確認も大切です。

よくある在留資格トラブルとその対策

企業側の不注意や誤解によって、以下のようなトラブルが実際に発生しています。

実例:採用トラブル3選

  1. 採用後に「在留資格と業務内容が不一致」と指摘され不許可に
  2. 在留期間の更新を見落としてしまい、不法滞在扱いに
  3. 留学生をアルバイト採用したが、資格外活動許可がなかった

トラブル防止策

  • 採用前に在留資格と職種のマッチング確認を必ず行う
  • 在留カードの有効期限を社内でスケジュール管理
  • 資格外活動許可が必要なケースでは、許可証のコピーを保管

 

よくある質問集(FAQ)

外国人材の採用を検討する企業の担当者から、よくいただく質問とその回答をまとめました。

在留資格について誤解が多いポイントを整理し、採用トラブルを未然に防ぐヒントとしてご活用ください。

Q1. ビザを持っていれば働けるのでは?

いいえ。「ビザ(査証)」と「在留資格」は別物です。

「ビザ」は日本に入国するための許可であり、就労の可否は在留資格の種類によって判断されます。たとえば、「短期滞在」ビザで入国した方は、就労は一切できません。

Q2. 在留カードがあれば誰でも働ける?

在留カードの「資格内容」と「就労制限欄」を必ず確認しましょう。

在留カードには、在留資格の名称と就労制限の有無が記載されています。就労可能な資格であっても、業務内容が在留資格に該当していなければ不法就労となる可能性があります。

Q3. 留学生をアルバイトで採用する場合、何を確認すればいい?

「資格外活動許可」を取得しているか確認することが必須です。

許可がある場合は、週28時間以内での就労が認められます(長期休暇中は週40時間まで)。許可がないままアルバイトさせると、企業側も処罰対象(不法就労助長罪)になるおそれがあります。

Q4. 在留資格の変更や更新は企業が行うもの?

原則として本人の申請ですが、企業がサポートすることでスムーズな手続きが可能です。

たとえば、留学生を卒業後に正社員として採用する場合、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへの在留資格変更申請が必要です。内定通知書や雇用契約書など、企業が用意すべき書類もあります。

まとめ:在留資格の理解は、外国人採用の“基礎体力”

在留資格は外国人を合法的に雇用するための「土台」です。

職種と在留資格の不一致、更新ミス、許可のないアルバイトなど、小さな見落としが大きなリスクにつながります。

正確な知識と事前の確認によって、トラブルを未然に防ぎ、外国人材が安心して働ける環境を整えることが、採用成功の第一歩となります。

100社以上の声から生まれた外国人採用の基礎資料!

  • 新卒・中途の母集団形成がうまくいかない
  • 就労ビザ申請の方法がわからない
  • 採用後の社内体制整備の方法がわからない

などのお悩みを抱えている方必見の外国人採用の基礎資料です。

資料請求はこちら

記事監修者
高梨 洋一
高梨 洋一
株式会社リーラコーエンジャパン CEO                       株式会社リクルートにて法人営業、海外事業、営業企画部部長など13年間経験。その間、ファーストリテイリングへ出向し人事・外国人採用に従事。シンガポールや上海で駐在し海外で人材紹介事業を運営。2015年より株式会社ネオキャリアに入社し、シンガポール法人の社長、海外事業全体の経営企画と経営管理を管掌する。その後は、日本企業の働き方の多様性と生産性向上を人の観点で支援すべく、2019年より株式会社ヨンイチを設立。2023年より主力事業である「Bridgers」の事業責任者となり、現在に至る。 現在は、主に海外経験と外国人雇用の知識とノウハウを活かして、多くの中小企業の外国人採用支援など行う。