労働人口の減少から外国人の人材派遣や採用に注目が集まっています。
深刻化する労働人口の減少に対応するためではなく、国内外から優秀な人材を募ることで会社を成長させようという狙いを持つ企業もいるようです。
しかし、もともと移民文化がなく日本語をメインの言語とする日本では、外国人を採用することで社内でトラブルが発生することも少なくありません。
こういったトラブルを防ぐためにも、適切な人材採用は非常に重要です。
人材採用の方法には様々な種類がありますが、今回の記事では、外国人の人材派遣や採用に関して、注意すべき点や確実に優秀な人材を採用する方法についてご紹介していきます。
外国人採用に注目が集まる理由とは?
日本の総人口は減少期に突入し、労働力人口(15歳~65歳)はこの10年(2008~2017年)で約70万人減少しました。
しかし、有効求人倍率は1.5倍を超えており、深刻な人材不足に陥っています。この問題を解決するために注目を集めているのが「外国人労働者の採用」です。
厚生労働省が公表した「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】」によると、平成20年に約486万人だった外国人労働者は平成29年には約1,279万人と2.6倍に増加しました。多くの企業が、外国人の雇用に注目し、実際に採用していることがうかがえます。
画像:厚生労働省が公表した「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】」より
外国人を雇用するメリット
前述したように、単なる人材の確保といった側面だけではなく、外国人の雇用には様々なメリットがあります。
まず、留学生にしても社会人にしても、日本で働きたいというくらいなので日本が好きで、働く上で強いモチベーションがあります。
また、もっとも習得が難しい言語の一つと言われる日本語を学び、さらに国を渡ってまで他国で働きたいため、優秀でバイタリティー溢れるケースが多いです。
労働意欲が高く優秀な外国人労働者が、他の社員に良い影響を与え、企業内で活力が生まれたという声や、社内では出ないようなアイデアが生まれた、という事例もあります。
実際に外国人を採用した企業の声
入社した外国人の方々は、仕事への取り組み方が積極的で、能力をレベルアップさせるために常に前向きに取り組む姿勢が顕著で、既存の社員も良い刺激になっています。
企業が成長し続けるには、国籍にとらわれず自社に適した優秀な社員を受け入れていくことが必要不可欠だと感じています。
(船舶用機器メーカー / 従業員数:100名)
人材派遣?人材紹介?外国人の雇用方法とは
外国人を雇用するためには、いくつかの方法があります。求人サイトに求人を掲載したり、公的機関で募集を行う、大学機関などと連携するなどのほか、人材派遣会社・人材紹介会社などの代理店を挟む方法もあります。それぞれの特徴についてみていきましょう。
外国人の人材派遣
人材派遣会社を通すことで、ニーズに合わせて人材を派遣してもらうことができ、採用活動の負担を軽減することが可能です。すでに人材派遣会社で雇用されている外国人が会社に派遣されてくるため、外国人採用に必要な手続きの必要がない点も魅力です。
また、人材派遣の種類の一つに「紹介予定派遣」があります。一定期間、人材派遣として働いたのち、正社員として雇用することが可能です。
外国人の人材紹介
人材紹介会社を通すことで、希望する条件に沿った人材を紹介してもらうことができます。人材派遣と異なり、自社の従業員として雇用をするため、会社の就業規則、賃金規定がそのまま適用されます。
人材派遣や紹介予定派遣は、一見すると「もし合わなければ変えられる」というメリットがありますが、派遣される外国人にとってもそれは同様で、合わなければ派遣の継続を断ることもできます。
採用の手間などを考えれば、精度の高いマッチングで人材を紹介してもらい、長期にわたって働いてもらう人材紹介のメリットは大きいと言えるでしょう。
人材派遣会社・人材紹介会社を選ぶポイント
外国人の人材派遣会社・紹介会社を選ぶ上で、いくつかポイントになる点があります。人材派遣のサービスを展開している会社は数多くありますので、これらのポイントを参考にしつつ、何社か実際に問い合わせをしてみましょう。
登録された外国人の日本語レベル
外国人を採用する際、一番気にするべき点は日本語のレベルです。株式会社ディスコが実施した「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査」によると、外国人留学生に求める資質については、文系・理系とも「コミュニケーション能力」が1位(文系62.9%、理系 50.3%)、次いで「日本語力」(文系 51.2%、理系 48.5%)と続きました。
多くの企業が、様々な状況に対応した日本語での高いコミュニケーション力を求めていることがわかります。実際、日本語の習熟度が高ければコミュニケーションも円滑なため、社内トラブルも軽減されます。
日本語能力を測る目安は、日本語能力検定です。ビジネスレベルで日本語が話せるのはN1・N2であり、例えばネオキャリアが運営する外国人人材紹介サービスBridgersに登録された外国人の80%以上がN2・N1の資格を持っています。
外国人の登録者数
登録者数もチェックポイントの一つです。国内外にネットワークを持ち、できるだけ多くの国・地域から人材を紹介できるサービスを選びましょう。
例えば、2011年から海外事業を展開するネオキャリアは、国内外合わせて83の拠点、アジアを中心に約30万人の人材ネットワークを有しています。拠点を設置している国と地域であれば、迅速に面接会を開催することが可能です。
外国人人材の内定実績
外国人の人材紹介会社を選ぶ上で、内定率や定着率も重要です。採用したものの、すぐにやめてしまっては、また人材を探す手間もかかりますし、引き継ぎも大変です。マッチングの精度を確かめる基準になりますので、内定実績や内定後の定着率についてもチェックするようにしましょう。
雇用後のフォローがもっとも重要
外国人労働者を雇用する際、もっとも大変なのは採用後と言われています。条件面が合ったとしても、社内に馴染めなかったり、業務上で意思疎通が上手く行かなければ、社員の能力を活かしているとは言えません。
外国人労働者からすると、日本は全くの異国です。言語だけではなく、文化も大きく異なります。このため、労働者が安心して働けるよう、しっかりとした雇用管理や時にはフォローが必要です。
ある外国人は宗教上の理由から食べられないものがあるため、事前に信仰について聞き学ぶことも重要でしょう。宗教上の理由から定期的にお祈りをしなければいけない人もいるため、社内に礼拝の施設を作っている会社もあるようです。
外国人労働者を雇用する際は、事前に相手の育った国の文化やその人の信仰に関する理解を深め、社内でも協力を呼びかける必要があります。
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