昨今、労働人口の減少による人手不足が話題となっており、人手不足で倒産に至る企業が増加しています。
今回の記事では、拡大する外国人労働者受け入れのメリットとデメリット、受け入れにあたっての成功方法について触れていきます。
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1|なぜいま外国人労働者が必要なのか
「人手不足」が話題になっている理由
日本の人手不足は、一段と鮮明になりつつあります。
総人口は長期の減少期に突入し、とりわけ労働力人口(15歳~64歳)はこの2007年から2016年の間で約36万人減少しました。
みずほ総合研究所の調査によると、労働力人口が2016年~2020年は約244万人減少、2020年~2025年は約255万人減少すると予測されています。
実際、有効求人倍率は2017年11月から本記事作成時点で判明している翌2018年2月まで1.6倍を継続的に超えるなど高止まり続けています。
これらの状況から、今後企業各社の採用活動は今以上に難航し、構造的な変革が求められることが予想されます。
今後国内の人材獲得競争はますます加熱していき、採用マーケットでの 「売り手市場」のトレンドは続いていくでしょう。
[参考] みずほ総合研究所『少子高齢化で人口は4割減 労働力率引き上げの鍵を握る働き方改革』
人手不足による倒産も !? さらには社員の離職も増え始める
人口減少による労働力の減少に加え、昨今の景気回復による業務量増も合わさり、企業の人手不足感に拍車がかかっています。
帝国データバンクの「全国企業倒産集計2017年報」によれば、人手不足を理由にした倒産件数は、2017年が106件と前年比の147.2%の大幅増でした。
このようにもし働き手が足りなくなりますと、景気が良いにもかかわらず仕事を受けられないという矛盾した状況となり、事業の継続が危ぶまれることとなります。
もし人手不足による業務負荷増に嫌気が差した社員の離職が一度始まってしまうと、有能な人間から会社から抜け出していくようなサイクルが生まれかねません。
そうなると、企業は「人手不足による倒産」まで転げ落ちていってしまいます。
[参考] 帝国データバンク『全国企業倒産集計2017年報』
人材難の企業への処方箋「外国人労働者の受け入れ」
人手不足は足りない人材の採用でしか解消できません。
今後売り手市場が続く国内において、自社を含めたすべての企業がパイの少ない国内人材の獲得に乗り出し、貴重な人材の奪い合いをしていくしかないのでしょうか。
既に賢明な企業は日本の外部に解決策を見つけ動き始めています。
日本で働く外国人労働者の状況
実際に外国人労働者の数は確実に増加傾向にあります。
街のコンビニや飲食店などで外国人の店員を見かけることも増えています。
厚生労働省によると、平成30年10月末時点での外国人労働者の数は約146万人。
過去最高人数を更新しているだけでなく、前年同期比で14.2%の増加と、かなりの勢いで増えていることが分かります。
なお、外国人労働者を採用している事業所は30人未満のところが最も多く、中小企業を中心に採用が進んでいます。
外国人労働者がここまで増えた理由として、
- 政府が推進している留学生や高度外国人材の受け入れが進んでいること
- 外国人の雇用環境が確実に改善したことで「日本人の配偶者」「永住者」という形で在留資格を得る人が増えていること
などが挙げられています。
今後受け入れ制度が整っていけば、外国人労働者が労働力として大きなウェイトを占めるようになり、人手不足の解決策として魅力的な選択肢となるはずです。
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2|外国労働者受け入れのメリット/デメリット
外国人労働者の受け入れにはこんなメリットがある
外国人材の中でも特に日本国内でなく海外にいる人材についてはまだ採用競合が少ないため、優秀な人材を見つけられる可能性が高いといわれています。
そのため海外優秀層の外国人を採用することができれば、人手不足の解消のみならず社内の人材レベルの底上げを見込んで行うこともできます。
特に日本で働く意思のある外国人の方は、日本が好きで日本への憧れから働くモチベーションが高く、ハイパフォーマンスが期待できます。
もちろん海外進出時やインバウンド対応での貴重な戦力を担ってくれることもあり、外国人ならではの能力を引き出していくこともできます。
さまざまな価値観や視点で社内が活性化する
外国人労働者を受け入れることで、多様な価値観や視点を社内に呼び込むことになり、新しいアイディアの創出や埋もれていた課題の発見などが期待できます。
社内がグローバル化することにより企業が成長するためのきっかけを多く増やせるという点も、外国人労働者を受け入れるメリットのひとつです。
また、日本人の従業員も日本とは違う文化に触れることになり、従業員の多角的な成長にもつながります。
海外進出の際に強力な人材となる
すでにグローバル展開をしている企業はもちろん、これから展開する可能性がある企業にとっても、外国人労働者の存在は大きな武器となります。
上記の厚生労働省のデータにあるように、日本で永続的な在留資格を得る外国人労働者も増えており、支部を任せられるような外国人リーダーの育成を進めることもできます。
これにより、海外進出する際に日本人では分かりにくい部分をサポートし、コミュニケーションの架け橋になってくれることが期待できます。
インバウンド対応で業績を伸ばすチャンスとなる
外国人労働者を雇用することで、海外進出だけではなく、国内におけるインバウンド対応においてもチャンスが生まれます。
外国人労働者同様に外国人観光客も年々増加しているため、外国人労働者がいればコミュニケーションがスムーズとなり、売上の拡大につながります。
母国語・日本語・英語のようにマルチリンガルの人材も珍しくはなく、そのような人材は特に活躍が期待できます。
接客の他には、その国ならではの特徴を意識した商品の陳列やポップの作成、商品開発などで外国人労働者が存在感を発揮します。
また、Webサイトや商品の取扱説明書で英語などの多言語展開をする際、翻訳業者の納品を母国語でチェックできる外国人労働者がいると安心です。
教育担当のスキルが上がる
外国人労働者を受け入れると、コミュニケーションの難しさから教育に手間がかかるという側面があります。
しかし一方で、日本人同士なら特に説明することもない事項まで丁寧に説明する必要があるので、教育担当の社員のスキルが上がるというメリットにつながります。
当たり前に思っていた業務内容やフローを整理し直すきっかけにもなり、その後日本人の新入社員に説明する際にも説明の分かりやすさや効率のいい研修につなげることが可能です。
集まりにくい職種にも人材が集まりやすい
外国人労働者は日本人の労働者とは違い、働きたい職種が異なります。
中には特に職種にはこだわらず、日本という国で働きたいというモチベーションで在留している外国人労働者もいるため、例えば人の集まりにくいキッチンアルバイトなどの職種でも十分な人数を雇用することが可能です。
また、留学生など在留期間を終えて帰国する際に後任の外国人労働者を見つけてきてくれやすいというメリットもあります。
外国人労働者受け入れ時にはココに注意
外国人人材を実際に雇い入れるとなると、戸惑ってしまう担当者も多いはずです。
日本の職場の価値観や文化をしっかりと理解しているか、またどのように入社時に研修を行ったらよいかなど、経験したことのないことへの対応が必要だからです。
異なる価値観を持った外国人材だからこそ、事業に関する新たなアイディアが出てくることもあり、逆に考え方の違いによって雇用する側・される側双方の軋轢を生む原因にもなり得ます。
また外国人の採用は受け入れ以前の選考段階から内定、ビザ申請など日本人の採用と勝手が異なるため、ハードルが高いのも事実でありデメリットであると言えるでしょう。
在留資格認定については、入国管理局へ申請が必ず必要であり、資格なしに雇用してしまいますと不法就労となって罰則の対象となってしまいます。
それでは、実際に外国人人材を職場に受け入れる際に、具体的な受け入れ体制についてはどのようにしたらよいのでしょうか。
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3|外国人受入れを成功させる方法
求める人物像=職務内容の明確化
厚生労働省の発行する『外国人の活用好事例集』では、「外国人と上手に協働していくための3つの要諦」として第一に以下を挙げています。
1. 外国人にとっても魅力的な就労環境を整備し、自社が求める人物像を事前にはっきりとさせた上で、効果的な募集・採用経路を選択しましょう。
国籍に関係なく重要なことですが、特に外国籍スタッフの募集では自社が求める人物像を事前に明確にした上で募集をする必要があります。自国で即戦力が求められる環境にいた外国籍スタッフには、短期間で成果を出そうとする傾向が見られることがあり、事前の業務イメージとのミスマッチがモチベーションの大きな低下に繋がりかねないためです。
例えば入社一年目で経験が浅いために本来と別の業務を頼み、結果別の仕事ばかり依頼することになってしまうことなどがこれに該当します。
自社が本当に欲しい人材を獲得するためにも、また雇用される側への配慮としても職務内容の明確化は必須です。
求める人物像を明確にしていけば、自然に職務内容を明確にすることにも繋がっていきます。
事前の業務イメージとのミスマッチを防ぐには
ほかミスマッチを防ぐ方法としては、求職者と普段から緊密なコミュニケーションを取っている外国人採用に長けたエージェントを利用することが挙げられます。
選考に関していえば日本人でも緊張してしまい実力の発揮しにくい面接を、外国語である日本語で受けるのは相当のプレッシャーがあります。必ずしも外国籍の求職者が母国語でない日本語で十分に自身をアピールできるとは限りません。
優秀な人材の採用を逃さないためにも、求職者の普段の姿を知るエージェントの活用は一考の余地があります。
公私両面で障壁をなくすようサポートする
2.「言語」「能力開発」「メンタルサポート」「安全衛生」「宗教・文化」などについて、ボーダレスな職場環境を目指しましょう。
3.日本での生活を開始する外国人社員は、言葉の壁などから、様々な困難に直面します。外国人社員が生活者として自立できるよう積極的にサポートしましょう。
3つの要諦のうち2と3はいずれも公私の両面でボーダーを下げるということです。
例えばアジア人であれば、私たち日本人と似通った容姿をしており、その上日本文化好きが多いため、一見日本人と変わりないように思えます。
しかし、実際には生まれ育った文化が異なるため、職場での障壁ができてしまうこともあります。
職場で発生するボーダーの対処法としては、以下のような例が挙げられます。
②日本語力を向上させるために日本語学習の機会を社内で設ける
意外と小さな工夫次第で、外国籍スタッフとの障壁を取り除くことができます。
そして何よりも、当人と充分にコミュニケーションを取って個々の悩みの解消に向けてお互いに努力することが大事でしょう。
また実生活の面でいうと、人によっては住居や携帯などの生活のインフラがまったくない状態で入国することもあります。
住居やクレジットカード、携帯電話など普段我々が当たり前に使えているサービスが、外国籍の場合契約がうまくいかず利用できないこともあります。
外国籍の方向けに展開しているサービスもありますので、そのようなサービスをうまく活用しながら、生活面でもサポートをすることがです。
[引用元] 厚生労働省『外国人の活用好事例集』
4|まとめ
あなたの職場での外国人労働者受け入れ方法
いかがでしたでしょうか?
今まで漠然と「外国人材の受け入れについてはデメリットの方が多いのでは…?」と思われていた方も、この記事を読んでいただいたことによって受け入れメリットについて気づきがありますと幸いです。
今後日本の労働人口は急激に減少していくとされていますが、それに伴って外国人労働者の受け入れは現実味のある課題になっていくものと思われます。
留学生の場合は日本の生活に慣れているため事情が異なりますが、海外から外国人を採用する際は、日本の生活基盤が整い、日本の生活や仕事に慣れるまでサポートが必要です。
この記事でご紹介した受け入れ時の工夫などを、試されてみてはいかがでしょうか。