外国人雇用の際のマイナンバーカードに関する基礎知識!

2016年に運用が開始されたマイナンバーとは、日本に住民票を持つすべての人に対して数字12桁を付与し、その12桁の番号をもとに社会保障や税などの管理を行うためのものです。

これまでバラバラの管轄官庁のもと社会保障と税、災害対策の3分野において手続き等を行っていましたが、マイナンバーによって一括管理が可能になり、スピーディーかつ公正に、またはオンライン上でもサービスを受けられるようになりました。

さて、このマイナンバーですが、外国人雇用者に対してはどのように適応されるのでしょうか。

多くの企業が受け入れ拡大によって新たに外国人を雇用していく中、このような手続きについて見落としてしまうこともあるのではないでしょうか。

今回は、企業で外国人を雇用した際にマイナンバーに対してどのように対応するべきかを、基礎的な知識から対応方法まで、わかりやすくご紹介していきます。

マイナンバーが付与される外国人

マイナンバーが付与される外国人とは「日本に住民票を持つ外国人」で、在留カードを持つ中長期在留者のことをいいます。

日本に入国した外国人は、在留カードが交付されて、住居地を定めた日から14日以内に在留カードを持参の上、住居地の市区町村役所にて住居地を届け出る必要があります。

この届出は住民基本台帳における転入届、転居届と一括で行うことができます。

原則として本人が届け出る必要がありますが、委任状によって代理人が届け出ることも可能です。

この届出によって住民票が作成され、マイナンバーが付与されます。後日市区町村から通知カードが届きます。

通知カードとは個人番号把握のためのもので、身分証明には利用できません。

通知カードと引き換えに個人番号カードが発行され、こちらの個人番号カードは身分証明書として利用できます。

▶︎通知カードについての詳細はこちら

出展元:マイナンバーカード総合サイト

帰国後もマイナンバーが変わることはありません。

マイナンバーを持つ外国人が再入国の許可なしで出国する場合、在留カードとともに通知カードもしくは個人番号カードを返却します。

その際にマイナンバーが記載されたカードが交付されます。

再び中長期滞在することになった際にはそのカードを提示すれば、改めて同じマイナンバーが付与されます。(参照:「内閣府外国人のみなさまへ、マイナンバーについてのお知らせです」

マイナンバーが発行されていない外国人は雇用禁止

マイナンバーが発行されない外国人を雇用することは法律上禁止されています

外国人雇用の際には在留カードが必須で、面接時に実物確認が義務付けられています。

▶︎外国人雇用の際の入社手続きや必要書類についてはこちら

在留カード保持=住民票の保持者であり、つまりはマイナンバーも付与されています。

マイナンバーが付与されていても正社員雇用が禁止されている外国人

マイナンバーが付与されていても、在留資格によっては正社員としての雇用が法律上禁止されている外国人もいます。

正社員雇用が禁止されている在留資格

(1)留学(2)家族滞在(3)文化活動(4)就学(5)研修

こちらの在留資格を持つ外国人は一定の条件下でアルバイトをすることは可能です。

その際には管轄の入国管理局で資格外活動許可を得ることが必須です。

アルバイトとして外国人を雇用した際にもマイナンバーの提出が必要です。

その場合は日本人のアルバイトと同様の手続きを踏みます。

マイナンバーの取り扱いで気をつけること

企業が外国人を雇用する際に行うべきマイナンバーの手続きは、日本人の雇用者に対するものと基本的には同じです

平成28年1月以降、源泉徴収票や各種支払調書にもマイナンバーが記載されるようになり、外国人の確定申告や納税状況について行政が把握し、管理することができるようになりました。

納税義務を果たしていないなど、ルール違反が起きた場合に在留期間の更新許可や永住権申請の際に許可が降りなくなることがあります。

企業からもしっかりと外国人の雇用者へ注意を払い、そのようなことが起きないように指導をしましょう。

マイナンバー取り扱いの際の企業にとっての注意点

企業は源泉徴収票や支払調書発行のために、雇用者のマイナンバーを取得する必要があります。

アルバイトやパートでも必要です。取得の際には利用目的を明らかにして、公表しなければなりません。

「源泉徴収票等作成事務、雇用保険届出事務、健康保険・厚生年金保険届出事務の諸手続きのための利用」であることをしっかりと明示して、どのように番号確認を行うのかも社内で明確にしておきましょう。

源泉徴収票や支払調書を行政機関に提出する場合のみマイナンバーは利用でき、これ以外の目的に利用したり、退職後も保管し続けることは禁止されています。

また、マイナンバーを取り扱う担当者は、社内の人をよく知る人であることが重要なポイントです。

また重要な機密情報を取り扱うため、責任感の強い方であることも大事になってきます。

(参照:内閣府マイナンバー制度について

マイナンバー取得の際のサポート体制を整えましょう

特に外国人の雇用者には、企業がマイナンバーを取得する理由についてしっかりと理解してもらう必要があります。

多言語対応のビデオ案内で用いて雇用者一人一人に丁寧に説明していきましょう。

その後、個人情報の取り扱いに関して同意書を用意しましょう。

文面は日本語でも問題ありませんが、外国人雇用者が理解できない場合は母国語のものも用意するか、口頭でフォローするなど、十分にサポートしましょう。

マイナンバーが外国人就労に与える影響

さて、マイナンバーの概要や手続きについてここまでご紹介しました。

最後に、マイナンバーによって外国人雇用にはどのような変化があるのかみていきましょう。

マイナンバー導入によって納税義務を果たしているのかの管理がされると先述しましたが、その他にもマイナンバーは外国人就労に対して影響がみられます。

外国人就労環境整備のためにデータ把握がされる

マイナンバーの活用が進むことによって、外国人雇用者の納税額などの統計をとることができ、日本への経済的影響を定量的に証明することができるようになります。

今後の日本の人手不足解消に向けて外国人受け入れを拡大したい中、就労状況などを統計から把握する環境を整えて、政策の立案や実行が進められることになるでしょう。(参照:日本経済新聞

健康保険の対象者は厳格化

また、2019年5月15日にマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにする改正健康保険法が成立しました。

2021年3月までの利用開始が目指されています。

この法改正によって健康保険の対象が厳格化され、給付を受けられるのは国内移住の扶養家族のみという規定が組み込まれました。医療費の抑制や不正利用の防止が目的とされていて、こちらの規定は2020年4月からの施行になります。

マイナンバーでの管理が可能になったことにより、外国人受け入れを拡大 するためにも不正利用などに対する規定整備は厳しくなっていくと思われます。(参照:日本経済新聞

外国人滞在者は手続きしやすくなる

マイナンバー制度導入によって、手続き等が複雑なのではと感じられることもありますが、これまで手書きの書類などを多く用意しなければいけなかった中、電子化が進むなどして、外国人の滞在者にとっては手間が多く省かれたことになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

一見複雑にはみえますが、外国人を雇用する際にはマイナンバーの保持を確認すること、企業として雇用者のマイナンバーを取得することの2つのステップが基本になります。

基本の作業は日本人を採用する場合と同じなので、難しく捉える必要はありません。

しかし、日本国内でもマイナンバー導入時は、システムについて手続きの面でわからないことが多くあった中、外国人の雇用者が見落としてしまったり、すぐに理解ができないということも起こります。

基本の2ステップをおさえたうえで、外国人雇用者がスムーズに滞在環境を整えて、仕事に専念できるよう、企業としてしっかりとサポートしていきましょう。

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