日本における外国人労働者数は年々増加し、現在204万人を突破しました。(令和5年度)さらに、外国人を雇用する事業所数も昨年は約32万事業所に達し、前年から約2万事業所増加しています。少子高齢化が進む日本において、外国人材の活用は多くの企業にとって欠かせないものとなっています。
しかし、雇用にかかるコストや手続きの負担も課題です。そこで活用したいのが助成金や補助金です。本記事では、外国人採用に関する助成金や補助金の種類について分かりやすく解説します。
目次
外国人の雇用に対する助成金、補助金について
外国人の雇用では、助成金だけでなく補助金も申請することが可能です。どちらも返済不要の公的支援制度であり、企業の負担を軽減するために活用できます。しかし、それぞれの制度には異なる特徴があり、適切に理解することが重要です。
この章では、助成金と補助金の違いを解説し、どのような場面で活用できるのかを見ていきたいと思います。
助成金と補助金の違いとは?
助成金と補助金は、どちらも返済不要の公的支援制度ですが、その仕組みや対象は大きく異なります。助成金は主に厚生労働省が管轄し、外国人労働者の雇用安定や労働環境の改善を目的としています。定められた要件を満たせば審査がスムーズに進むため、受給のハードルは比較的低めです。また、通年で募集されているケースが多く、申請のタイミングを選びやすいのも特徴です。
一方、補助金は経済産業省などが管轄し、企業の成長や設備投資を支援する目的で支給されます。予算が限られているため、審査は厳しく、事業計画の内容が重要視されます。さらに、募集期間が数週間と短いことが多いので、計画的な準備が必要です。
管轄期間 | 目的 | 申請の難易度 | |
助成金 | 厚生労働省 | 雇用の促進・労働環境の改善 | 低い |
補助金 | 経済産業省 | 企業の成長・設備投資 | 高い |
助成金・補助金の活用と申請のポイント
外国人を採用する際には、助成金や補助金を活用することで企業の負担を軽減できます。助成金は外国人従業員の採用や研修に関する支援が中心で、補助金は外国人労働者を活かした事業展開を後押しする制度です。さらに、東京や大阪などの大都市の自治体では、独自の支援策を設けている場合もあります。
厚生労働省の助成金を利用するには、雇用保険への加入が必要です。また、種類ごとに異なる要件があるため、事前にしっかり確認しましょう。申請手続きは、社会保険労務士など専門家に依頼するとスムーズに進められます。
100社以上の声から生まれた外国人採用の基礎資料!
- 新卒・中途の母集団形成がうまくいかない
- 就労ビザ申請の方法がわからない
- 採用後の社内体制整備の方法がわからない
などのお悩みを抱えている方必見の外国人採用の基礎資料です。
外国人雇用で活用できる助成金一覧(2025年2月調べ)
外国人採用を支援する助成金(支援金)の一部を紹介します。以下を参考に他にも利用できそうな助成金を探してみてください。(助成金は変更される可能性があるため、随時確認が必要です。以下の助成金は2025年2月現在での助成金例になります)
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
この助成金は、職業経験が少ない外国人労働者を試しに雇用する際に活用できる制度です。正社員採用を前提に、最長3か月の試用期間(トライアル期間)を設けると、1人当たり月額4万円が支給されます。母子家庭の母や父子家庭の父の場合は5万円が支給されます。
求職者の適性を見極めながら雇用できる点もメリットです。申請は、管轄の労働局やハローワークで行います。無期雇用契約へ移行することを前提とした制度です。
詳しくはこちら
雇用調整助成金
事業の売上が落ち込み、一時的に経営が苦しくなったときに、外国人労働者を含む従業員の雇用を守るための助成金です。休業手当を支払う場合、その一部が助成され、1人1日あたり最大8,635円が支給されます。これにより、事業主は解雇せずに従業員を維持できます。
申請には「最近3か月の売上が前年同期比10%以上減少」「過去に受給している場合は1年以上経過している」などの条件があります。
詳しくはこちら
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人労働者が安心して働ける職場を作るための助成金です。賃金の基準を満たす場合、環境整備の費用として最大72万円(3分の2)、満たしていない場合でも最大57万円(2分の1)が支給されます。
マニュアルの多言語化、相談窓口の設置、通訳費用、通訳機器の導入、弁護士や社労士への相談費用などに活用できます。外国人を受け入れる企業にとって有益な制度で、申請は管轄の労働局やハローワークで行います。
詳しくはこちら
キャリアアップ助成金
非正規雇用の外国人労働者を正社員に登用する際に活用できる助成金です。正社員化の支援だけでなく、賃金アップや福利厚生の充実など、処遇改善のためにも使えます。企業が正社員登用や労働環境の改善を行う際にかかる費用の一部を支援する制度です。
コースには、正社員化コースや障害者正社員化コース、賃金規定の改定や共通化を支援するコース、賞与・退職金制度の導入支援などがあり、幅広いサポートが受けられます。
詳しくはこちら
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
企業が従業員のスキルアップを支援するための助成金です。外国人労働者を含む従業員が、専門的な知識や技能を習得するための訓練費用や、訓練期間中の賃金の一部が支援金として支給されます。職場全体の生産性向上にもつながる制度です。
受給額は企業の規模や訓練時間によって異なり、最大50万円まで補助されます。利用するには、訓練実施計画を作成し、開始日の1か月前までに管轄の労働局へ申請する必要があります。
詳しくはこちら
若年技能者人材育成支援等事業(ものづくりマイスター制度)
ものづくりやITの分野で活躍したい若手のための支援制度です。経験豊富な専門家が企業に直接訪れ、実技指導を行います。企業側は指導料を支払う必要がなく、指導に必要な材料費も厚生労働省が負担してくれます。
ベテランの技を間近で学べる貴重な機会となり、若手技能者の成長を後押しします。企業はこの制度を活用し、次世代の技術者を育成することができます。
詳しくはこちら
【成功事例】外国人採用 事例集

- 外国人材の採用の成功事例を知りたい
- どの業種・職種で外国人材を採用できるのか分からない
- 日本企業に適した採用手法を学びたい
外国人雇用の補助金・支援制度について
外国人を雇う企業を助けるために、各地の自治体が補助金や支援制度を用意しています。これは、外国人が働きやすい環境をつくるためのサポートです。ただし、補助金の情報は突然発表されることが多く、申し込み期間も短いため、こまめにチェックすることが大切です。
補助金のほかにも、外国人向けの研修や相談サービスなど、さまざまな支援制度があるので、うまく活用しましょう。
補助金情報はこまめにチェックすることが大切
外国人雇用を促進するために、地方自治体ごとにさまざまな補助金制度があります。例えば、外国人材の採用にかかる費用や、日本語研修の費用を補助する制度などがあります。
ただし、これらの補助金は申請期間が短いことが多いため、こまめに情報をチェックすることが大切です。各都道府県庁のホームページや関連機関のサイトを定期的に確認し、活用できる制度を見逃さないようにしましょう。
支援制度の一例をご紹介
外国人雇用管理アドバイザー制度
外国人労働者を雇用する企業向けの支援制度です。専門知識を持つアドバイザーが、雇用管理の改善やトラブル解決をサポートしてくれます。全国のハローワークで申し込むと、アドバイザーが無料で派遣され、適切な雇用管理の方法をアドバイスしてくれます。
外国人労働者とのコミュニケーションや労働条件の整備に不安がある企業にとって、心強い制度です。
詳しくはこちら
国際化促進インターンシップ事業
外国人インターンの受入れを通じて、企業の国際化を支援する制度です。特に中堅・中小企業向けの制度で、受入れ1日につき、一人あたり2,000円の人材育成支援費が支給されます。
コースには「来日対面コース」と「オンラインコース」があり、企業の状況に応じて活用できます。インターンを受け入れることで、海外とのつながりを強化し、社内のグローバル化を進めることができます。
詳しくはこちら
登録支援機関
登録支援機関は、特定技能の外国人を雇用する際に活用できるサポート機関です。外国人労働者が安定して働けるように、さまざまな支援を行います。
例えば、出入国時の送迎、住居や生活に必要な契約の手続き、日本語学習のサポート、日本人との交流の機会づくりなどがあります。企業だけでなく、外国人労働者にとっても安心できる仕組みです。
詳しくはこちら
外国人雇用を支える助成金と補助金をうまく活用しよう
外国人労働者の雇用は、少子高齢化が進む日本社会において、企業の成長を支えるうえで大切なものとなっています。しかし、雇用するには費用がかかり、手続きも複雑なので負担は大きい課題です。そんな中で、助成金や補助金、支援制度をうまく活用することで企業の負担を減らすことができます。
助成金は、外国人労働者を雇う企業に支給されるお金で、申請が複雑ではないので必要なときにすぐに使えるのが特徴です。補助金は、企業が成長するための支援をしてくれるもので、申請のハードルが少し高く、期間も短いので計画的に準備することが大切です。
それぞれの要件や申請のタイミングをしっかりと確認し、支援制度を最大限に活用しましょう。