人手不足の深刻さが増す日本国内。
人手不足の業種ランキング上位5業種に注目し、各業界の人手不足の要因から課題を分析します。
また人手不足から脱却した企業の成功事例を交え、今注目されている社内改革手法をお伝えします。
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日本国内における人手不足の現状と課題
帝国データバンクの調査によると、「正社員の人手が不足している」と回答した業種のトップ5は以下の通りです。
1位:情報サービス 74.0%
2位:建設 68.1%
3位:運輸・倉庫 65.9%
4位:メンテナンス・警備・検査 65.4%
5位:自動車・同部品小売 63.5%
[出典] 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2018年1月)」
企業規模別に見ていきますと、正社員が不足していると回答した企業のうち大企業が59.1%、中小企業が49.1%、うち小規模企業が44.2%という結果になっています。
全体平均は51.1%で、企業規模に関わらず日本全国の企業各社が人手不足の問題を抱えていることが見て取れます。2017年には人手不足倒産が106件に上り、前年比から47.2%増と危機的な状態です。
今後、人手不足により倒産してしまう企業の増加が予想されています。対策方法を探るため、なぜ上記5業種が人手不足に陥りやすいのか確認していきましょう。
人手不足業種ランキング上位5業種
1位 情報サービス業
要因:著しい業界成長に伴う担当者不足
経済産業省の調査によりますと、日本国内には現在約91万人のIT人材が従事しているものの、約17万人ものIT人材が不足しているそうです。
特に市場拡大が見込まれる「セキュリティ」、「人工知能などの先端分野」における人材不足は深刻です。すでにセキュリティ分野では13.2万人、先端分野では9.7万人が不足していることが明らかになっています。
理由のひとつに、業界の成長スピードに適切なスキルを持つ人材の母数が追いついていない現状が挙げられます。Webアプリの開発やIoTの発展など広がる仕事幅に対し、適切な人材の絶対数が少なく慢性的な人手不足に陥っています。
2位 建設業
要因:重労働、継続的なキャリア形成への不安
総務省統計局の労働力調査によりますと、建設業界では2000年から2015年までの5年間で、従業者数は約50万人も減少しています。
熟練した技術者を目指し資格取得や現場経験を積めば、高給を得ることも夢ではありませんが、資格を取得するまでの労力や時間、体力仕事のため加齢により勤務を継続しにくくなることから、建設業界を目指す若年層は減る一方です。
3位 運輸・倉庫業
要因:インターネット販売(EC)市場の拡大
従事者数は例年と比べ横ばいにも関わらず、AmazonをはじめとしたEC市場規模の拡大により、業務量が増えたことが人手不足の大きな要因です。
2010年からの過去6年間でECの市場規模は国内で1兆円まで拡大し、今後も市場規模は拡大することが予想されています。したがってEC事業の拡大と比例して業務量が増大する運輸・倉庫業は、今後も慢性的な人手不足が続いていく可能性があります。
[出典] 経済産業省
4位 メンテナンス・警備・検査業界
要因:低賃金、重労働
警備業界の平均年収は50歳で約307万円。月給に換算すると約25万円で、一般企業で働く社会人2,3年目の社員と変わらないような給与額でしかありません。
週6日勤務の仕事や季節に関係なく屋外で従事することが多く、2位の建設業と同様に、警備業界を志望する若年層は減少しています。
5位 自動車・同部品小売業
要因:ものづくり大国から、IT大国へ
自動車整備士、製品開発、機械系エンジニアなど理工系の職種募集が大半を占めている自動車業種。一定の技術が必要とされるため、労働人口減少とともに充分なスキルを持つ人材の確保に各社が苦しんでいます。
さらに労働人口減少に加え日本の産業が「ものづくり」から「IT」へ移り変わりつつあるため、若年層から選ばれにくい職種になってきていることも採用難に追い打ちをかけています。
[出典] クラッチ求人
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人手不足への対策方法
人手不足が続く中、各社はどのような対策を行っているのでしょうか。人手不足問題に対し、新たな活路を見出した企業の対策方法をご紹介します。
4社の人手不足解消事例
事例1 広告・情報サービス業 株式会社あつまる(東京)
売り手市場のIT業界で、外国人のエンジニア採用に乗り出した同社。日本語検定試験の受験者数第1位でIT人口数が急激に伸びる中国人に注目したとのこと。
日本語スピーカーかつエンジニアスキルを持ち合わせた中国人エンジニアの確保を狙います。
事例2 清掃・整備業 株式会社中西(愛知)
Youtube動画を活用して、若年層から注目を集める株式会社中西。約3年間で3万人のYoutubeチャンネル登録者数を記録し、動画を見た遠方東京在住の視聴者が面接を受けに来ることもあるそうです。
なんと、動画のコンテンツは「ゴミ屋敷をひたすら掃除する」という内容。まるでテレビ番組の企画のようで、ついつい動画に見入ってしまいます。
事例3 運送業 互助交通(東京)
採用にユニークな学生インターンプログラムを実施し、若年層の応募増を狙うタクシー会社。街中にポイントを設け、実際に会社働くタクシーの運転手と就活生が一緒に謎解きをするという、ゲーム感覚で業務内容を理解できる採用プログラムになっています。
入社前にインターンを行うと、どのような業務内容かイメージしやすくなるため定着率の向上も期待できそうです。
事例4 電気・設備業 未来工業株式会社(岐阜)
年間休日140日+有給休暇40日と休暇日数が日本一とも言われる同社。「外せる制約はできるだけ外そう」という哲学から、勤務時間を7時間15分に変更したり作業服を自由にしたりと、一般常識を覆す働き方改革を行っています。
従業員に優しい魅力的な企業として、中部地方で最も注目されている企業のひとつです。
番外編:在宅ワークの導入
第二新卒・既卒の20代の若者135名を対象に行った調査によると、約4割が「働き方改革をしていれば、前職に留まった」と回答したとのことです。
男女別に見ると、男性は「在宅ワーク」が20.7%、続いて「育休・産休」「残業規制」が共に20.0%という結果になっており、女性は「在宅ワーク」が12.6%、「フレックス制度」が9.6%、「兼業/副業」「育休・産休」が共に8.9%でした。
男女ともに「在宅ワーク」への関心が高く、このような制度を取り入れることで、離職率の上昇を防ぎ新規採用数の抑制に繋げられるかもしれません。
[出典] excite
人手を補ってからが勝負!定着率も一緒に考えよう
今から約50年後の2065年には労働人口が4,000万人まで減少し、2016年の労働人口数と比較すると約50%減少すると予想されています。
採用競争がますます激化する中で、企業の魅力のアピール方法や働き方を見直すことがより一層重要になってくると言えるでしょう。採用戦略の改革を行い、採用市場で勝ち抜いていくことが企業成長のキーになることは間違いありません。
さらに人手不足を補った後の定着率の向上も重要なポイントです。社員のキャリアデザインの支援や社内環境の整備など、社内改革も併せて行っていきましょう。