「外国人を雇用したいけれど、助成金って使えるの?」「うちの会社でも対象になるの?」
そんな疑問を持つ中小企業の方は少なくありません。
実は、外国人労働者の雇用に際して、一定の条件を満たすことで、国や自治体からの助成金や補助金を受けられる制度があります。
ただし、制度ごとに対象者や申請方法が異なり、少し複雑です。
本記事では、「外国人雇用×助成金」の基本から、代表的な制度、申請時の注意点まで、わかりやすく整理してお届けします。
目次
1|助成金と補助金の違いとは?
まずは混同しがちな「助成金」と「補助金」の違いを簡単に整理しておきましょう。
区分 | 助成金 | 補助金 |
主な管轄 | 厚生労働省 | 経済産業省・自治体など |
応募形式 | 条件を満たせば受給できる (基本的に先着順ではない) |
公募形式 (審査・期間・予算枠あり) |
返済の必要 | なし | なし |
申請の難易度 | 比較的取りやすい | 競争率や審査あり |
外国人雇用に関連するものは主に「助成金」が多く、制度によっては補助金も利用可能です。
すしざんまい(株式会社喜代村)
全国56店舗の回転寿司チェーンを展開し、クロマグロを史上最高額で競り落としたことでも有名な「すしざんまい」。
この有名企業も、「海外開拓」「省エネルギー」「雇用」の助成金を活用して経営の土台を作っていることで知られています。
[参考資料] 監修:柏雅『図解ビジネス 経営者・起業家必読! すぐわかる補助金・助成金活用ガイド』誠文堂新光社
100社以上の声から生まれた外国人採用の基礎資料!
- 新卒・中途の母集団形成がうまくいかない
- 就労ビザ申請の方法がわからない
- 採用後の社内体制整備の方法がわからない
などのお悩みを抱えている方必見の外国人採用の基礎資料です。
2|外国人雇用で使える主な助成金・補助金制度
2-1. 雇用調整助成金
概要
景気悪化や業績不振により、従業員(外国人を含む)を一時的に休ませる場合、企業が支払う休業手当などの一部を国が助成してくれる制度です。
対象
雇用保険適用事業所の事業主
助成内容
・休業手当:中小企業は最大3分の2を助成
・教育訓練:教育訓練実施率によっては最大2分の1を助成、さらに1日1,200円の加算あり
手続きの流れ
1. 事前に「申請書」「計画届」など必要書類をハローワークへ提出
2. 休業や教育訓練の実施
3. 実績報告 → 支給申請
注意:手続きを休業開始前に済ませる必要があるため、早めの準備が重要です。
[参考資料] 厚生労働省|雇用調整助成金
2-2. トライアル雇用助成金
概要
外国人を含む求職者を一定期間試行的に雇用し、適性を見極めたうえで本採用できる仕組みです。ミスマッチを防ぎ、安心して雇用を始められます。
対象
ハローワークなどの紹介により、対象者を試行雇用する事業主
助成内容
・週30時間以上のフルタイム雇用:1人あたり月額最大5万円(最長3か月)を支給
注意:外国人求職者の場合、在留資格によっては対象外となる場合があるため、事前に確認が必要です。
[参考資料] 厚生労働省|トライアル雇用助成金
2-3. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
概要
外国人が安心して働けるように、社内の就労環境を整備した企業に対して支給される助成金です。受け入れ体制の整備に取り組む企業におすすめです。
対象
外国人労働者を雇用する事業主
助成内容
・1制度導入につき20万円、最大80万円まで
対象となる取組例
・翻訳機器・通訳サービスの導入
・社内マニュアルの多言語化
・外国人向け就業規則の作成
・法律・労務相談の専門家費用
申請時の注意点
・「どの整備を行ったか」について計画・実施報告が必要です
・経費の見積書・支払い証明の提出が求められます
[参考資料] 厚生労働省|人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
2-4. 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
概要
外国人を含む従業員への職業訓練に対して、賃金や訓練費の一部を助成してくれる制度です。外国人社員の定着・戦力化に有効です。
対象
雇用保険の被保険者を対象に訓練を実施する事業主
助成内容
・賃金助成:1時間あたり760円(上限あり)
・訓練経費:訓練費の最大75%(コースによる)
活用例
・新入社員のOJT研修
・特定技能外国人への専門教育
・社内研修における通訳サポート
注意:外部研修を活用する場合、講師の契約書や研修実績報告が必要になります。
[参考資料] 厚生労働省|人材開発支援助成金
3|申請前にチェックしたい4つのポイント
1. 制度ごとに「タイミング」が決まっている
助成金や補助金は、「申請すればいつでもOK」というものではありません。
たとえば雇用調整助成金は、休業前に計画届を出さなければ対象外になるなど、事前の申請が必要な制度も多くあります。
手続きの前提として「どのタイミングで何を出すのか?」を必ず確認しておきましょう。
2. 対象になる“人”や“条件”が細かく決まっている
「外国人を雇用していればOK」というわけではなく、在留資格の種類や勤務時間、紹介経路(ハローワーク経由など)といった条件があるケースもあり、
制度によっては「対象外」の外国人もいるため、自社の雇用形態が要件を満たしているか事前に確認しておくことが安心です。
3. 書類の量が多く、後から差し戻されることも
助成金の申請には、計画書・実績報告・就業規則など、たくさんの書類が必要になります。
不備があると再提出や不支給になることもあるので、準備は早めにスタートし、書類の保存や記録も日ごろから意識しておくとスムーズです。
4. 制度は毎年更新される
助成金・補助金は年度ごとに見直しや予算変更があるため、「昨年、受給できたから今年もOK」とは限りません。
実際に申請を考える際は、最新の情報を厚生労働省や自治体のサイトで確認するのが鉄則です。
💡 困ったときは社労士に相談を!
申請が初めての企業にとっては、制度選びや書類作成が大きな負担になることもあります。
そういったときは、外国人雇用に詳しい社会保険労務士や、専門支援機関に相談するのが近道です。
4|まとめ
助成金をうまく使えば、外国人雇用のハードルは下がる
外国人の採用・育成・定着にあたっては、最初に「制度を知っておくこと」が何より大切です。
助成金をうまく活用すれば、コストの不安を軽減しながら、安心して採用を進められます。
ただし、制度の内容や申請要件は毎年更新されるため、最新の情報は厚生労働省や各自治体の公式サイトで確認しましょう。
✅「自社は対象になるの?」「申請の流れが不安…」という場合は、社会保険労務士や専門支援機関に相談するのもおすすめです。
制度はあくまでサポートにすぎませんが、それをうまく使うかどうかで、採用の成果は大きく変わります。
ぜひ本記事をきっかけに、前向きな一歩を踏み出していただけたら嬉しいです。