ベトナム人を雇用するには?|採用メリットや注意事項もご説明

日本にいる外国人の数は、出入国管理庁によると、2024年6月時点の在留資格ベースで、358万8956名と前年と比べおよそ17万人ほど前年度より増加しています。その中でもベトナム人は中国人に次いで2番目に多く、今後も増えていくことが予想されます。

本記事では、生活でも仕事でも関わる機会の多くなりつつあるベトナム人の国民性の紹介、採用においてのメリットや注意事項などについてご紹介します。

ベトナム人は技能実習生や特定技能だけでなく、高い技術力から、エンジニアとしてもたくさんの方が日本で働いています。その力を活かして彼らが日本で活躍するにはどうしたらよいか、理解を深めていきましょう。

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国内在留ベトナム人のいま

はじめに、日本にいるベトナム人の状況について簡単にご説明します。

国内で増加するベトナム人

いま、日本国内でベトナム人が急増しているのはご存知でしょうか。

在留外国人数の統計(法務省)によると、令和6年6月時点で、日本にいるベトナム人の数は約60万人と、中国に次ぐ第2位にのぼります。2012年ではおよそ5万人程でしたが、2020年年末時点では韓国を追い越して2位となり、今なお増加しています。

つまり、ベトナム人は日本人にとって、非常に身近な存在になってきているのです。

日本にいるベトナム人の5割以上が「技能実習」「特定技能」

日本にいるベトナム人約63万人のうち、技能実習生が約21万人、特定技能が約13万人が在留しており、この2つで5割強を占めています。

その他にも技術・人文知識・国際業務(就労ビザ)が10万人以上と増えており、一方で留学生の数は減少傾向にあるようです。

拡大するベトナム人雇用

日本国内の労働力不足などを背景に、外国人労働者の受け入れが加速しています。

2019年4月には、「人手不足の解消」を目的に、新たな在留資格「特定技能」が新設されました。

特定分野の技能検定に合格することで、いままで禁止されていた、あまり高度な技能を必要としない業務でも外国籍の人たちが働けるようになりました。

その特定分野に含まれる外食業では、最初の合格者347人のうち207人がベトナム人でした。

2024年6月時点では133,478人のベトナム人が特定技能として日本で活躍しています。

技能実習生は日本に在留する期間が決まっていますが、特定技能では2号取得することで長期的に日本に就労できるようになったことも日本で働くベトナム人が増加する追い風となっています。

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ベトナム人の国民性と教育レベル

意外と似ている日本人とベトナム人

ベトナム人の国民性は、日本人と似ているところがあるといわれています。

勤勉さや謙虚さがあり、ものづくりや計算など細かい作業に適性がある方が多いと言われており、これが後述する高い技術力にもつながっています。

そのため現状日本では、観光などのインバウンド対応よりも、エンジニア・技術系職種としてベトナム人を採用するケースが多くあります。

ITエンジニア教育に熱心なベトナム政府

ベトナムでは政府として「デジタル人材開発プロジェクト」を掲げています。AI・半導体・サイバーセキュリティなど先端分野への教育資金を国家予算から直接投下しています。

このように他の新興国と比べても、「国家戦略として人材育成を掲げ、法律・予算を伴って推進」している点が強い特徴です。

人材輩出に関しても、300近くの大学・短大で IT関連学科が設置されており、毎年5万人近い卒業生を輩出しています。

特にベトナムの大手IT企業で、日本企業とのプロジェクトの経験も豊富なFPTやViettelなどが自ら大学を運営し、即戦力教育を行う仕組みは、欧米や日本に比べて官僚的な遅れが少なく、最新の技術トレンドやビジネスを教育に反映できる強みがあります。

国を挙げて技術者の育成に力を注いでいることと、細かい作業に適性のあるとされる国民性が合わさり、高い技術力として結実しています。

同じようにITマーケット拡大として注目されるインドや中国と比較すると、特に産学連携の柔軟性や人件費と教育コストのコストパフォーマンスで優れているといえます。

ベトナムは東南アジアの中でも今後、世界からエンジニアの採用や、技術の連携で注目されていくことでしょう。

ベトナム人と日本語

日本でベトナム人採用熱が高まるにつれ、ベトナム側もその動きを加速化する取り組みがおこなわれています。

たとえば2016年には、東南アジアではじめてベトナムの初等教育(小学校)で日本語学習が導入されました。

JLPTの受講者数でみると2024年7月に実施された試験でのベトナム人の受講者数は、国際交流基金の報告によると27,934人と国別に比較すると5位の受験者数です。

また日本の企業もベトナムに生産拠点を構えたり、ベトナムのお客様とビジネスがある場合も増えています。そこで、日本人スタッフとベトナム人スタッフとの懸け橋として日本語を習得し、キャリアアップを目指すことも可能です。

このようは背景も踏まえ、ベトナム政府は「外国語教育強化プログラム(2025–2035)」の中で日本語を重要外国語に位置づけており、今後も日本語を学び活躍するベトナム人は増えていくでしょう。

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ベトナム人の正社員を採用する方法(就労ビザ)

2つの採用方法

ベトナム人を正社員として採用する方法は、大きくわけて2つあります。

①ベトナム現地での採用と②日本国内での採用です。

日本国内の採用とベトナム国内の採用ではそれぞれメリットデメリットがあるため、それぞれ見ていきましょう。

現地でベトナム人を雇用する場合

ベトナム現地での採用活動をするメリットは、競合が少なく候補者の母集団も豊かになるため、自社に合った人材を採用できる可能性が高くなります。

工業系の大学で学んできた方も多く、工学系の候補者の母集団は安定的に形成することが可能です。 特にハノイ工科大学やベトナム国家大学など、ベトナムでもハイレベルな大学を卒業している大学出身のエンジニアを採用することも可能です。

一方で、日本語を勉強中のベトナム人でも来日経験のない方も多く、日本語を話し慣れてない方も多いです。そのため、面接時の日本語ではなく、定着についての意識と、技術力を面接で判断して採用を決断することになります。ベトナム国内の給与も年々上昇傾向にあるため、日本語を流暢に話せる方を採用する場合は、自社の給与レンジと見合わない場合もあります。そのため、現地で採用する際はよりポテンシャルの見極めが大切になります。

日本でベトナム人を雇用する場合

先ほど紹介したように、日本ですでに「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就労しているベトナム人は10万人を超えるため、日本に住んでいるベトナム人の中途採用も現実的な選択肢です。

日本に在住しているベトナム人を採用するメリットは、日本で生活・就労の経験があるため、ベトナム現地からの採用よりも日本語でのコミュニケーションが比較的容易であることが挙げられます。

一方ですでに就労経験があるため、仕事内容だけではなく、給与や住居、その他福利厚生などを、現職や他社と比較して転職をきめるため、ベトナム現地から採用するよりも条件面については細かく検討されます。

最近ではオンライン面接も主流となっているため、ベトナム現地の人材と日本在住の人材を同時に面接し、採用するケースも増えてきています。

また、自社で雇用せず人材派遣を活用することも可能ではありますが、就労ビザで働くベトナム人は長期での就労を希望しているため、紹介予定派遣や自社での雇用を検討することをお勧めします。

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就労ビザの取得

就労ビザは、外国人が日本国内で働くことができる在留資格です。

日本国内に「技能実習」「留学生」などの在留資格で在留しているベトナム人を雇用する場合も、海外在住のベトナム人を雇用する場合も、就労ビザを取得する必要があります。

取得には企業側が準備する書類もあるため、取得の必要性についてはよく確認する必要があります。

就労ビザの取得が必要ないケース

就労ビザ取得の必要がないケースは、3パターンあります。

1つは、そのベトナム人が就労制限のない在留資格を取得しているケースです。

このような在留資格には「永住者」や「定住者」、「日本人の配偶者等」があり、日本人と変わらない条件で生活ができるため、就労に制限はありません。

ベトナム人でこのケースに当てはまる人材はまだ多くはありませんが、今後は増加していく可能性もあります。

もう1つは、資格外活動許可を得ている留学生であるケースです。

留学ビザは基本的に就労ができませんが、資格外活動許可があれば一定期間は就労できるため、新たに就労ビザを取得することなく雇用することができます。

最後の1つは、採用予定のベトナム人が就労ビザをもっており、かつその就労ビザで許可されている業務内容が、これからおこなう業務と一致するケースです。

所持している就労ビザで許可されている業務内容であれば、就労ビザの種類を変更する必要がありません。

就労ビザの取得が必要なケース

就労ビザの取得が必要なのは上記以外のすべてのケースです。

たとえば、現在持っている就労ビザとは異なる業務を任せたいケースや、就労ビザを持っていないケースが挙げられます。

就労ビザでは決められた業種以外の仕事に就労できないため、出入国管理庁で在留資格の変更手続きをおこないます。

初めて取得するケースも出入国管理庁で申請をおこないます。

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ベトナム人を採用する際の注意点

最後に、ベトナム人を採用するときの注意点をご紹介します。

ベトナム人エンジニア採用の注意点

エンジニアの場合、文系学生に比べて技術の習得に時間を割いてきた分、日本語能力に少し懸念が残る場合もあります。

日本で就労を希望する平均的なベトナム人エンジニアの日本語能力は、日本語能力検定でいうとN3以下であることも多いです。

N3は「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルとされています。

しかし、日本語をまったく話せなかった外国籍社員が、3年ほど日本で働く間に日本語がネイティブレベルになる例も珍しくありません。

[引用元] 日本語能力試験公式ウェブサイト N1~N5:認定の目安

ベトナム人採用を成功させるポイント

今後世界中の企業がベトナム人エンジニアの採用に乗り出すことが想定されるため、いまのうちに採用することがおすすめです。

そのためには、相手の能力を正確に見極め、相応の給料を支払うことが重要になります。

たとえば「ベトナム人は日本人よりも能力が低い」「外国人人材=安価な給料」という誤った先入観を持ってしまうと、本当に優秀な人材を採用できず、採用してもすぐに離職する可能性が高くなります。

また法律で「日本人と同等以上」の給与が定められているため、不当に安価な給料で雇用した場合、罰金の対象になることも注意が必要です。

優秀なベトナムの人材に長く働いてもらうためには、明確なキャリアプランを用意しましょう。

自身のスキル向上に貪欲な人材が多いため、成果に応じてやりがいのある仕事をどんどん振っていくことも大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は内容をまとめると3つのポイントになります。

①ベトナムは国家をあげてエンジニア人材の育成をおこなっている

②ベトナム人技術者の採用は現実的に有力な選択肢になっている

③スキル相応の給料とキャリアプランを提示することが重要

ベトナムで優秀なエンジニア人材の採用をされてみてはいかがでしょうか。

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記事監修者
高梨 洋一
高梨 洋一
株式会社リーラコーエンジャパン CEO                       株式会社リクルートにて法人営業、海外事業、営業企画部部長など13年間経験。その間、ファーストリテイリングへ出向し人事・外国人採用に従事。シンガポールや上海で駐在し海外で人材紹介事業を運営。2015年より株式会社ネオキャリアに入社し、シンガポール法人の社長、海外事業全体の経営企画と経営管理を管掌する。その後は、日本企業の働き方の多様性と生産性向上を人の観点で支援すべく、2019年より株式会社ヨンイチを設立。2023年より主力事業である「Bridgers」の事業責任者となり、現在に至る。 現在は、主に海外経験と外国人雇用の知識とノウハウを活かして、多くの中小企業の外国人採用支援など行う。