日本企業の人手不足が深刻化しています。
労働人口の減少と相反して有効求人倍率は上昇し、中小企業の中には人手不足が原因して倒産してしまう会社もあるほどです。
この人手不足の原因は、単に労働人口の減少なのでしょうか。
人手不足の原因を正しく認識し、対策を取ることは経営者や人事担当者の方にとって急務と言っても過言ではありません。
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日本企業は人手不足なのか?
人手不足の原因を考える前に、まずは現状を見ていきましょう。賃金が上昇しないと言われているなかで、人手が足りないといった声も聞こえます。
人手不足を考えるにあたっては、有効求人倍率と人手不足倒産数を見るとわかりやすいでしょう。
有効求人倍率は1.63倍を記録
日本企業は人手不足かどうかを考える基準の一つに、有効求人倍率が挙げられます。
有効求人倍率とは、求職者数に対する求人数の割合で、雇用動向を示す重要指標のひとつです。厚生労働省が全国のハローワークの求職者数、求人数をもとに算出し毎月発表しています。倍率が1を上回れば人を探している企業が多く、下回れば仕事を探している人が多いということになります。
2017年12月、有効求人倍率は1.59倍と43年ぶりの高水準を記録しました。さらに2018年7月時点で1.63倍と、上昇を続けています。
参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(平成30年7月分)について」
なかでも人手不足業種と言われている、建設業、小売業、飲食店・飲食、サービス業、介護事業などの人手不足は深刻です。介護の有効求人倍率4倍以上にものぼります。
NHKの「なぜ“人手不足倒産”が増えているのか」によると、もともとは半導体の技術者やITの専門家などを主な対象としていたヘッドハンティング会社が建設業界を専門とするチームを発足させたそう。直後から中堅・若手の人材を求める依頼が殺到し、相談件数は3年間で2倍近くに増加。費用をかけても人材を確保したい企業姿勢が伺えます。
中小企業は人手不足倒産も
人手不足倒産という言葉をご存知でしょうか?後継者不足や求人難が原因して、企業が倒産してしまう事例です。求人難型の倒産は、2017年は前年より2倍増で推移しています。
参照:東京商工リサーチ「「人手不足」関連倒産(2017年)」
このように、日本国内での人材は減少の一途を辿っています。日本国内の人材の争奪戦が予測されますし、国内に限らず外国人の採用も視野に入れる必要があるかもしれません。特に中小企業の人材不足は深刻と言われています。
経営者の方や人事担当者の方は、時流を見据え、原因と対策について知識を持つ必要があるでしょう。
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人手不足の原因とは
ここからは、人手不足の原因について考察していきます。人手不足の原因は、人口減などの社会的な問題と、企業内での待遇の問題があげられます。
少子高齢化の影響による、生産人口の減少
総務省統計局の調査によれば、2018年8月時点での日本の人口は1億2649万人、前年同月に比べ減少しています。下記のグラフを見ると、ここ10年で減少の一途を辿っていることがわかるでしょう。
参照:総務省統計局「人口推計(平成30年(2018年)3月確定値,平成30年(2018年)8月概算値) (2018年8月20日公表)」
人口の減少は、生産年齢人口(15~64歳)の減少にも大きな影響を与えるでしょう。内閣府が示した資料によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は他の先進国に比べて低く、2000年を100とした場合、15年の日本は89.8で1割減少の見込み。一方、アメリカは113.5、イギリスは108.8で、いずれも1割前後増加しています。
仕事内容、給与、労働時間など、待遇の問題
人手不足の原因の一つに、待遇に対する不満もあげられます。例えば、人手不足が顕著な業界では、仕事内容がきついために長く続けられないといった声もあります。労働時間が長くい割に給与が低く、ブラック企業と呼ばれることもあります。
求人を行っても人が定着しなければ意味がありません。労働人口の減少以前に、従業員が働く環境に満足しているかどうかを考える必要もあるでしょう。
人手不足の対策とは
企業の人手不足を解決するために、具体的な対策をご紹介していきます。
まずは職場環境のチェックを
最適な人材採用を行うためには、ある程度の時間が必要ですが、いまいる従業員の方の職場環境をチェックし、改善していく方法はもっとも手っ取り早く効果もあります。
労働時間は過剰ではないか、悩みはないか、待遇に不満はないかなど、定期的に面談を行ってはいかがでしょう。
生産性向上のための努力を
次に、生産性の向上があげられます。長時間労働などを改善するために、いま行っている作業が本当に最適化どうかを洗い流すのです。
あるIT企業では、コンサルティング会社が間に入り、生産性向上プロジェクトを実施。従業員が行っている作業を15分単位で記録し、1ヶ月かけて部署内で無駄を洗い流しました。その結果、業務工程が大きく改善されたとの事例があります。
しかし、通常の業務が削られずこのプロジェクトが業務に追加されるだけでは社員の負担が倍増するだけです。生産性は向上したものの「もっと出来るということか」という上司の判断で人員がプラスされず、結局現場の社員の不満が溜まって離職したという悪い事例もあります。
本気で生産性を向上したいのであれば、一旦仕事を半分減らしてでも、こういったプロジェクトに時間を割くことが必要です。
AIやテクノロジーの活用
深刻な人手不足を回避するため、人工知能(AI)を導入する企業も増加しています。例えば、無人レジや無人搬送ロボットなどです。ある程度の資金が必要ですが、積極的にAIやロボットといったテクノロジーを取り入れることで、人手不足を解決できるかもしれません。
また、こういった大規模な投資ではなくても、例えば社内SNSの整備は社員同士のコミュニケーションを促進しますし、会計ソフトと連携したレジを使えば会計などのバックオフィス業務も大幅に削減されます。このように、新しいシステムや技術を取り入れることが、長い目で見て人手不足の解消に繋がるかもしれません。
外国人労働者の雇用
最後は、外国人労働者の雇用です。ここ10年ほどで、外国人労働者の数が増加していることはご存知でしょうか。2017年10月時点での日本国内での外国人労働者の数は約1,279万人、外国人労働者を雇用している事業所は事業所が約19万5000カ所にものぼります。
国籍は、中国が37万2,263人、ベトナムが24万259人、フィリピンが14万6,798人、ブラジル が11万7,299人と、いずれの国の労働者も増加傾向にあります。
外国人労働者を雇用するメリットは、単なる人材確保にとどまりません。
画像:厚生労働省が公表した「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】」より
外国人労働者を雇用するメリットとは
単なる労働力としてではなく、海外から優秀な人材を採用することは、企業にとって大きなプラスになるでしょう。他の社員への刺激となり、会社の成長を期待する声もあがっています。
マイナビが実施した「2017年卒 企業 外国人留学生採用状況調査」によると、外国人留学生の入社後の活躍について、「予想以上に活躍するしている」が2.7%、「十分に活躍している」が41.8%と、優秀な戦力として期待通りの成果を挙げていることがわかります。
海外進出を計画・実施している企業の場合は、現地との関わりをサポートしてくれる橋渡し役としての役割も期待できるでしょう。
まとめ
これまで見てきたように日本企業における人手不足は深刻な問題となっています。労働人口の減少など、社会全体の問題もありますが、単純に業界や会社の体質から人が定着しないという問題もあるようです。
人口減少に関しては、今後、大企業・中小企業問わず、人材確保の争奪戦が予測されます。その際に、国内だけではなく、海外にも目を向けることで、効率良く優秀な人材を確保できるかもしれません。